December 2024 Monthly Roundup/ 2024年12月 米国・グローバル最新トピックのご紹介- Covington

今月のPick Up記事は下記になります。

第二次トランプ政権下の通商政策とビジネスへの影響
新たなHSRの届出ルールは2025年2月10日から有効に
米国財務省、対外投資規制に関する最終規則を発表
連邦取引委員会（FTC）、「click-to-cancel」ルールを発表
ホワイトハウス、AIに関する国家安全保障メモランダムを発表
2024年の米国選挙がデータ保護・プライバシーの動向に与える影響

ご不明な点やより詳しい情報の入手等のご要望がございましたら、ジャパンプラクティス代表木本までご連絡ください。

Pick Up

［米国／通商／関税／トランプ政権］

第二次トランプ政権下の通商政策とビジネスへの影響

Trade Policy Under a Second Trump Administration and Implications for Business

2025年1月20日のトランプ大統領就任により、米国の通商政策に重要な変化が起こるものと予想されています。国際貿易はトランプ政権下の重要な焦点の一つとみられており、多くのグローバル企業に影響を及ぼす様々な変化が予想されています。例えば、トランプ大統領は、経済問題・非経済問題の両面において、国際交渉の1つの手段として関税を活用することを繰り返し表明しています。また、トランプ次期政権の閣僚・人事に関する近時の発表からも、大幅な新規関税、対中強硬姿勢などが予想されているところです。そして、トランプ政権による新たな関税措置や貿易措置は、貿易相手国による報復措置につながる可能性もあります。本稿では、第二次トランプ政権において採用されうる通商政策について検討し、これに伴うリスクに対して、企業がいかに備えることができるのかを検討しています。

［米国／M＆A／独占禁止法］

新たなHSRの届出ルールは2025年2月10日から有効に

New HSR Requirements Set to Become Effective on February 10, 2025

前回お伝えしたとおり、2024年10月10日、米国連邦取引委員会（the U.S. Federal Trade Commission）及び米国司法省反トラスト部門（the Antitrust Division of the Department of Justice）は、ハート・スコット・ロディノ法（the Hart-Scott-Rodino Act：HSR）に基づく合併届出に大きな改正を加える最終規則を発表しました。最終規則の下では、例えば、通常の業務過程で作成され、CEO又は取締役等に共有された、競争上のトピックを論じる書面の提出や外国語の全書面の英語の逐語訳の提出が求められる等、事業者の合併届出に係る負担は大幅に増加することになります（詳しくは、FTC and DOJ Announce Final Rule Reshaping HSR Filing Requirements をご参照下さい。また、先日開催した執筆者によるWebinar, New HSR Requirements – What In-House & Corporate Deal Counsel Need to Knowの録画をご覧いただける場合がありますので、Registerボタンからご確認ください)。現在のところ、2025年2月10日以降に行われるHSRの届出は、この最終規則に基づく新たなルールに従う必要があるとされています。合併事前届出局（The Premerger Notification Office）は、2024年11月以降、最終規則の実施に係るガイダンスを発行するとしているため、引き続き注目が必要です。

［米国／対外投資規制／安全保障］

米国財務省、対外投資規制に関する最終規則を発表

Treasury Department Issues Final Rule to Implement Outbound Investment Executive Order

2024年10月28日、米国財務省は、対外投資規制に関する最終規則を発表しました。これは、2023年8月9日にバイデン大統領が署名した対外投資規制に関する大統領令を実施するためのものです。この最終規則では、米国人が、(i) 半導体およびマイクロエレクトロニクス、(ii) 量子情報技術、(iii) AIの３つの分野に関して、懸念国の事業体等と取引を行う場合に、取引の財務省への届出を義務付け、場合によっては取引そのものを禁止するとの内容が定められています。そして、現在、規制対象となる懸念国には中国のみが指定されています。この最終規則は、欧米の主要国として、初めて中国への対外投資を規制するものとなり、その影響に注目が集まります。本稿では、最終規則の規制内容に関する詳しい内容、そのインパクトなどについて、解説しています。

［米国／連邦取引委員会／消費者法］

連邦取引委員会（FTC）、「click-to-cancel」ルールを発表

FTC Issues Final “Click-to-Cancel” Rule

10月16日、連邦取引委員会（FTC）は、最終的な「click-to-cancel」ルールを発表しました。このルールは、サブスクリプションや会員登録、定期購読等に関して、消費者が「登録と同じくらい簡単に」解約できるように求めるルールです。すなわち、ワンクリックで登録できるようなものであれば、同様にワンクリックで解約できるようにしなければならない、ということになります。このルールを含む最終規則は、他にも不当表示、開示方法、同意の取得方法などいくつかの重要な改正を含む見込みであり、また従前発表されていた規則案からの変更点もいくつか存在します。本稿では、これらの点について詳しく解説しています。先日開催した執筆者によるWebinar, The Final FTC “Click-to-Cancel” Ruleの録画をご覧いただける場合がありますので、Registerボタンからご確認ください。

［米国／AI／政府調達契約］

ホワイトハウス、AIに関する国家安全保障メモランダムを発表

White House Issues National Security Memorandum on Artificial Intelligence

2024年10月24日、ホワイトハウスは、国家安全保障システムにおける、また軍事・諜報目的でのAI及びAI活用技術の利用に関する国家安全保障メモランダム（National Security Memorandum）を発表しました。2023年10月に発表されたAIに関する大統領令14110は、米国の国家安全保障をサポートするAIの導入及び敵対国によるAI利用への対処を目的とした同メモランダムの作成を求めていました。国家安全保障メモランダムは、諜報機関及び国家安全保障システムの一部としてAIを利用する機関に適用されますが、これらの機関のシステムをサポートする企業の他、広くAIモデル開発の基準となる可能性や米国政府が新興AI技術へ補助や投資を行う場合にも影響を及ぼす可能性が高いと考えられます。

［米国／データ保護・プライバシー］

2024年の米国選挙がデータ保護・プライバシーの動向に与える影響

The Impact of the 2024 Election on the Data Privacy Landscape

2024年の米国選挙の結果は、今後のデータ保護・プライバシー政策に大きな影響を与えることが予想されます。共和党と民主党は、包括的なプライバシー保護法及び子供のプライバシー保護法を制定すべきという点では同意しています。米国議会は、過去2年間、(i) 米国プライバシー権法（the American Privacy Rights Act）、(ii) 子供オンラインセーフティー法（the Kids Online Safety Act－対象プラットフォームに17歳未満の子供の保護のためのオンライン保護策や透明性確保等を求めるもの）、(iii) 子供オンラインプライバシー保護法（the Children and Teens’ Online Privacy Protection Act－現行のCOPPAを改正し、17歳未満の子供のプライバシー保護を図るもの）の制定に向けて尽力してきましたが、いずれも成立には至っていません。本稿では、2024年の米国選挙の結果が、これらの法案の成否や連邦取引委員会（the Federal Trade Commission）の執行動向に与える影響等について解説します。

News

[Law360 の選ぶ Leaderboard 及び Social Impact Leaders ランキングにおいてTOPに輝きました] Law360 Pulseは複数の角度から法律事務所を評価し、最終的なスコアを算出して毎年３つのランキングを発表しており、コビントンはそのうちの２つ、Leaderboard及びSocial Impact LeadersランキングでTopに輝きました。Leaderboardは3つのランキングの最も包括的かつ最高峰のものです。コビントンでは、ビリング・クレジットやオリジネーション・クレジットといったシステムを採用せず、弁護士及びアドバイザーがオフィスや専門分野を超えてシームレスに協力しあえる体制をとっています。このアプローチは、クライアントへのサービス提供にあたってより強固なチームワークを育み、専門分野の垣根をこえた複合的かつ統合的な高価値のリーガルサービスを提供することを可能にしています。

[６人のパートナーがLaw360 MVPを受賞しました]

受賞者とそのプラクティスは以下のとおりです。

テクノロジー－Alex Berengautはモンタナ州によるTikTokの禁止に対する仮処分命令など、テクノロジー関連クライアントの企業存続をかけた係争における功績が認められました。
ライフサイエンス－Catherine Darganは、複数の著名多国籍ライフサイエンス企業に対し戦略的取引に関するアドバイスを提供した功績が認められました。その中には、Bristol Myers Squibb社によるKaruna Therapeutics社のの合併（140億ドル）及びRayzeBio社のの合併（41億ドル）、Novartis社によるBausch + Lomb Corp. 社への医薬品ポートフォリオの売却（25億ドル）、Biogen社によるHuman Immunology Biosciences社の買収（18億ドル）、Merck社によるElanco Animal Health社の一部事業の買収（13億ドル）及びHarpoon Therapeutics社の買収（6億8000万ドル）などが含まれます。
CFIUS・FDI －Heather Finstuen は、対米外国投資委員会（CFIUS）及び海外直接投資（FDI）関連業務で評価され、この1年間に、安全保障上の問題を含む数々の海外取引につき米国政府の承認を得ました。その中には、BAE Systems社によるBall Aerospace 社の買収（55億ドル）、Brookfield Renewable Partners社及び Cameco 社によるWestinghouse Electric 社の買収（79億ドル）、Stabilus SE社によるDESTACO社の買収（6億8000万ドル）など、数多くの高額案件が含まれます。
保険請求－Gretchen Hoff Varnerは保険請求訴訟の主任弁護士としての功績が認められました。その中には、テクノロジーを活用したライドシェアリング企業Getaroundを代理し、保険請求管理業務における専門的基準につき重要な論点を提起した訴訟において、陪審員裁判の8日目に至って、コビントンが弁論を終えた翌日に和解が成立したケースも含まれます。
ベネフィット－Robert Newman はERISA訴訟における主任弁護士として事物管轄に関する国内初の上訴に勝利したこと、59億ドルの年金債務訴訟においてVerizonを代理したこと、IBMのERISA訴訟で勝訴したこと、数十億ドルの企業取引で従業員福利厚生および役員報酬に関する主任弁護士を務めたことなどが評価されました。
電気通信－Gerry Waldronは、FCCや連邦議会において、通信、メディア、テクノロジークライアントのために戦略及び規制に関する問題に取り組んだことが評価されました。この中には、GeoBroadcast Solutionsを代理して、ラジオ放送局が位置情報に基づきコンテンツを配信することを初めてFCCに全会一致で認めさせた件が含まれます。

[ライフサイエンス取引グループに新たなメンバーがボストンオフィスに加入しました] 製薬会社、バイオテクノロジー企業、学術機関等を代理し、幅広い分野及びプロダクトライフサイクルのライフサイエンス取引に携わってきたJulienne Hearnがボストンオフィスに加入しました。Hearnは金融機関、学術機関、企業の代理人として、ロイヤリティの収益化や開発資金調達の取り決めなど、資金調達主導型の取引の経験も豊富です。日本で日本語を学んでいた経験もあり、日本企業の皆様のお役に立てる機会を楽しみにしております。

[Global Investigations Review (GIR) の選ぶ国際不正調査プラクティスTop10に６年連続でランクインしました] このランキングGIR30は、国境を越えた政府主導の調査や内部調査に対応するに最適な世界有数の事務所を評価するもので、コビントンのホワイト犯罪対応及び不正調査プラクティスは６年連続でTop10入りをしています。同プラクティスは極めて高い評価を得ており、先月もThe National Law Journalによる"Crisis Management and Government Oversight"部門を受賞しています。

Webinars

弊所主催Webinarは、参加のご登録をいただくと後日録画をご視聴いただけます（オフレコのWebinarを除く）。なお、この時期はPost-Election Webinarが多くありますが、内容の時限性に鑑み録画の提供がなされないことが多くなっております。

参加の難しい時間帯のWebinarについて、特にご興味があり録画版の視聴を希望される場合には、別途木本までご連絡ください。担当チームと対応を協議致します。その他海外子会社のご担当者様等米国や欧州ベースの方々に適宜ご案内いただけますと幸いです。

[Post-Election Considerations for the Food and Dietary Supplement Industries] １２月４日 1 – 2 p.m. ET

[Mexico Judicial Reform: Status and Impact on Business] １２月４日 10 – 11 a.m. ET

[Coming to America? Tax Pitfalls and Traps for Foreign Employees Working in the United States] １２月５日 9:30 - 10:30 a.m. ET

[PLI Conference | Coping with U.S. Export Controls and Sanctions 2024] １２月９日・１０日の２日間にわたり、Peter FlanaganがCo-Chairを務める米国貿易管理と経済制裁に関するPLIカンファレンスが開催されます。PLI会員は無料でご参加いただけます。PLI会員でない方は、Covingtonのディスカウントコード FTY4 COV20 をお使い下さい。

[The New Administration and FDA] １２月５日 11 a.m. - 12 p.m. ET

[開催済Webinar]

引き続き録画視聴のご登録をいただける場合がありますので、Registerボタンからご確認ください。