February 2025 Monthly Roundup/2025年2月 米国・グローバル最新トピックのご紹介- Covington

今月のPick Up記事は下記になります。また、Trump Administration Tool Kit を立ち上げましたので、ご活用いただければと思います。

1) 商務省が先端AIなどに利用される先端半導体等に関する新たな輸出規制を公表
2) 米国・英国がロシアのエネルギー分野などを対象に新たな経済制裁を実施
3) DOJが米国市民の大量の機微個人データ及び米国政府関連データに関する大統領令を実施する最終規則を発行
4) 連邦取引委員会、HSR届出基準額、手数料及び罰則を引き上げ
5) FDAが医療機器・医薬品・バイオ製品に係るAIについてのガイダンス草案を公表
6) EUにおける強制労働製品禁止規則の発効
7) バイデン大統領、2025年度国防権限法に署名

Pick Up

[米国／国際通商／半導体／AI]

商務省が先端AIなどに利用される先端半導体等に関する新たな輸出規制を公表

U.S. Department of Commerce Establishes Export Control Framework Limiting the Diffusion of Advanced Artificial Intelligence and Expands and Clarifies Advanced Computing Controls

米国商務省産業安全保障局（BIS）は、バイデン政権最後の週に、先端AIなどに利用される先端半導体等に関する新たな輸出規則を発表しました。
同規則案では、一部先端半導体及び先端AIのための非公開モデルウェイトに関する輸出規制、3つの仕向地グループに応じた先端半導体の輸出規制、先端半導体などに関する直接製品規制の拡大、先端AIモデルを訓練するインフラストラクチャ・アズ・ア・サービス（IaaS）プロバイダーに対する新たなコンプライアンス上のレッドフラグなどが規定されています。また、複数のAI及び半導体関連の中国企業が新たに輸出規制リストに追加されました。
いずれの規則案もすでに発行されていますが、一部規制について2025年1月31日又は同年5月15日までの猶予期間が設けられています。

[米国／英国／ロシア／国際通商／エネルギー]

米国・英国がロシアのエネルギー分野などを対象に新たな経済制裁を実施

New U.S. and UK Sanctions, Including Related to Russia’s Energy Sector

2025年1月10日から15日にかけて、米国と英国はロシアのエネルギー部門に対する経済制裁を強化しました。
具体的には、米国は、ガスプロムネフチ（Gazprom Neft）やスルグトネフテガス（Surgutneftegas）などの主要なエネルギー企業及び関連子会社、ロシアの石油取引に関与する船舶、ロシアの制裁企業に重大な支援等を行った中国やカザフスタンの企業などを含む、多くの個人・団体に対して資産凍結を行いました。また、2025年2月27日以降、ロシアへの石油サービスの提供を禁止しています。制裁対象者との関係を清算する取引など、一部の制裁対象行為は一般許可（General License）の対象とされています。
英国でも、ガスプロムネフチとスルグトネフテガスが制裁対象に指定されました。

[米国／データ保護／国際通商]

DOJが米国市民の大量の機微個人データ及び米国政府関連データに関する大統領令を実施する最終規則を発行

Department of Justice Issues Final Rule to Implement Bulk U.S. Sensitive Personal Data and Government-Related Data Executive Order

2024年12月２7日、米国司法省（the U.S. Department of Justice：DOJ）は、バイデン政権下の大統領令である「懸念国による米国市民の大量の機微個人データ及び米国政府関連データへのアクセスの防止に関する大統領令」（Preventing Access to Americans’ Bulk Sensitive Personal Data and United States Government-Related Data by Countries of Concern）を実施するための最終規則を発行しました（同大統領令に関する以前のクライアントアラートについてはこちら（日本語のサマリーはこちら）をご参照下さい）。最終規則は、中国を含む懸念国による、米国市民の大量の機微個人データ又は米国政府関連データへのアクセスに繋がる可能性のある特定の取引（データ仲介、ベンダー契約、雇用契約、投資契約）を禁止又は制限しています。最終規則は、スタートアップ企業から大企業まで幅広い企業において、懸念国の当局や懸念国に所在する対象者との間の取引に影響がある可能性があり、様々な業種の事業者に大きな影響を与えると考えられます。

[米国／連邦取引委員会／HSR法／独禁法／企業結合]

連邦取引委員会、HSR届出基準額、手数料及び罰則を引き上げ

FTC Increases HSR Filing Thresholds and Fees, Penalties, and Thresholds Applicable to Board “Interlocks” for 2025

連邦取引委員会（The Federal Trade Commission：FTC）は、企業結合について、ハート・スコット・ロディノ法（the Hart-Scott-Rodino Act：HSR法）に基づく届出が必要かどうかを判断するための改定基準を発表し、併せて同法に基づく届出の手数料を改定しました。これにより、議決権のある株式、資産、非法人持分の取得に関する最低の「取引規模」の届出基準額は、従来の1億1950万ドルから引き上げられ、1億2640万ドルとされました。この新しい基準額と手数料は、連邦官報での公表から30日後の2025年2月21日より適用されます。本稿では、このような改定内容等について、詳細を解説しています。

[米国／ライフサイエンス／AI]

FDAが医療機器・医薬品・バイオ製品に係るAIについてのガイダンス草案を公表

FDA Releases Highly Anticipated Draft Guidance Documents on Artificial Intelligence Regarding Devices, Drugs, and Biological Products

アメリカ食品医薬品局（Food and Drug Administration：FDA）は、2025年1月、AIに関する重要なガイダンスの草案を2つ公表しました。一つ目の「AI対応医療機器ソフトウェア：ライフサイクル管理及び販売許可申請に係る推奨事項」（Artificial Intelligence-Enabled Device Software Functions: Lifecycle Management and Marketing Submission Recommendations）は、事業者がAI対応医療機器の販売許可申請にあたって申請書に記載すべきデータについての推奨事項等を示しています。二つ目の「医薬品及びバイオ製品に係る規制上の判断を補助するためのAI利用に関する留意事項」（Considerations for the Use of Artificial Intelligence to Support Regulatory Decision-Making for Drug and Biological Products）は、事業者がAIを利用して医薬品及びバイオ製品の安全性等に係るデータを作成するにあたり、そのAIモデルの適切性をどう判断すべきか等を示しています。ただ、これらのガイダンスは、バイデン政権下のFDAにより発行されたものであり、今後、トランプ政権下のFDAが、パブリックコメント等を受けて、これらをどう取り扱うかについては注視が必要です。

[EU／強制労働／ビジネスと人権／労働法]

EUにおける強制労働製品禁止規則の発効

EU Forced Labour Regulation Enters Into Force

2024年12月13日、EUにおける強制労働製品禁止規則が発効しました。この規則は、文字通り強制労働によって製造された製品を禁止するものであり、EU域内で製品を販売し、またはEU域内からEU域外へ製品を輸出する幅広い企業にグローバルに適用されることとなります。EU各国において実際に適用が開始されるのは2027年12月14日からとなりますが、本規則は各国レベルでの追加の実施法を必要とせずに直接個々の会社に適用されます。本稿では、この規則の内容を整理するとともに、EUの企業サステナビリティデューデリジェンス指令（Corporate Sustainability Due Diligence Directive：CSDDD）や米国の強制労働関連輸入禁止法令等の規則との相互関係、今後企業に求めらる対応などについて解説しています。

[米国／国防権限法／安全保障／調達政策]

バイデン大統領、2025年度国防権限法に署名

President Biden signs the National Defense Authorization Act for Fiscal Year 2025

2024年12月23日、バイデン大統領が2025年度の国防権限法案（National Defense Authorization Act：NDAA）に署名し、同法が成立しました。国防権限法は今後の国防政策やその予算を定めるものであり、2025年度は8952億ドルの予算が定められています。これは、2024年度から90億ドル、1％の増加となります。本稿は、2025年度の国防権限法に関する連載の第1回目であり、同法に定められた、①政府の調達政策や契約管理、②サイバーセキュリティの強化、③AIや自律システム(autonomous system)の活用について解説しています。また、今後の連載では、中国を対象とする国防権限法の条項、サプライチェーンの管理、民間投資の活用による重要技術の開発加速等についても解説する予定です。

ご不明な点やより詳しい情報の入手等のご要望がございましたら、ジャパンプラクティス代表木本までご連絡ください。

News

[Trump Administration Tool Kit で情報を提供しています] コビントンでは、第二期トランプ政権への移行にあたり複雑な問題に直面しているクライアントを支援するため、Trump Administration Tool Kit を立ち上げました。元政府高官や政策専門家からなる超党派チーム及び経験豊富な弁護士によるウェビナーやアラート等の情報を一覧いただけます。Tool Kitにあるとおり、新政権発足直後に出されたExecutive Orders とMemorandaをまとめたサマリーを公開しています。また、２月１９日には、弊所ワシントンDCオフィスで、Anticipated Enforcement Trends in the Trump Administrationと題するパネルディスカッションを開催します。

[７年連続でLaw 360のFirm of the Yearに選ばれました] コビントンが７年連続でFirm of the Yearに選ばれました。また、下記８部門でPractice Group of the Yearに選出されています。

[日本企業の関与するM&Aリーグテーブルで８位となりました] Law.comの記事によると、２０２４年に完了した日本企業の関与するM&A案件のリーガルアドバイザーを取引総額でまとめたランキング（リーグテーブル）において、コビントンが８位に入りました。ランク入りした法律事務所は、日本の四大事務所に続き、A&O Shearman, King & Wood Mallesons, Paul Weiss Rifkind Wharton & Garrison、そしてコビントンとなっています。

[英国情報コミッショナーオフィス（ICO）の法務顧問及び競争・市場庁（CMA）の独占禁止法担当シニア・リーガル・ディレクターを務めたClaudia Bergがロンドンオフィスに加入しました] 前職の経験を活かし、Antitrust プラクティスグループにおいて、英国デジタル市場・競争・消費者法（DMCC）およびEUデジタル市場法（DMA）等デジタル規制、データ保護、AI等、独占禁止法とプライバシーの交錯する重要問題につきアドバイスを提供します。Bergによる欧州におけるTop ５独占禁止法執行トレンドの解説もぜひご覧ください。

[ジャパンプラクティス代表の木本が “Leading Professionals in Their 40s” に選ばれました] ジャパンプラクティス共同代表を務める木本が、The Los Angeles Business Journal が優れた弁護士、会計士、銀行家等の専門家を選出する“Leading Professionals in Their 40s” の一人に選ばれました。皆様のご期待に添えるよう、より一層精進して参ります。